【小説】私が人に殺されかけた話。家族は助けなきゃ….

こんにちは。ぷにんたです。

私の身にとんでもない事が起きました。私は殺されかけたことがあります。

今回はそれについて話します。

ニートな1日

私は今20歳を過ぎて尚ニート。アパートで実家暮らしをしている。家の近くには祖父母の家があり、祖父母にはすぐ会いに行けた。

今日も1日何事もなく平和だな。家の窓からの外からは暖かい日差しに小鳥の囀り。チュンチュンと声が聴こえる。
 
今日は水曜日。昼過ぎのことだった。
 
私はいつも通り外で愛犬の散歩に出かけると、「あれ?久しぶり!」と近くから声が聞こえてきた。私はそちらの方を向くと実家の向かいの家から人が近づいてくるのが見えた。
 
…なんかとんでもないイカツイ男だ。
 
ムチっとした体型ではあるが、年齢は35歳くらいだろうか。身長は173cm程、プロレスラーのような鍛え上げられた身体にパンチパーマ、サングラスをかけている。そして眉毛はない。
 
「俺のこと覚えているか?」
 
覚えていない。私といつどこで関わった人か聞いてみた。
 
「お前が幼稚園か小学生かの時に遊んでやったんだよ。大きくなったなぁ」
 
あ、思い出した。とても物腰が柔らかく優しいお兄ちゃんのような存在だった。仲が良かったから私の家族皆知っている。再婚した父にも兄貴の話しはしていた。皆して「兄貴」なんて呼んでいた。一緒にままごとなんかして遊んでくれていたんだ。それが今こんな見た目に…
 
兄貴は今板金屋の自営業を営んでいるらしい。
 
昔こんなことして遊んでたよねなんて話しているととても懐かしく温かい気持ちになった。芸人のみやぞんに似てるねと話していたら、兄貴はみやぞんの友人だった。しかもみやぞんが今家にいるらしい。
 
みやぞんを呼んでくれた。すると兄貴の家からサングラスをかけてデカイ男が出てきた。みやぞんだ。よく見るリーゼントヘアだった。
 
兄貴とみやぞんが並ぶとヤ〇ザのようで、一見怖い。私はこの異常な光景をどうにかして写真に収めたくて2人に頼むと快く引き受けてくれた。
 
2ショットと3ショット。もう満足したので私は愛犬の散歩を終え帰宅することにした。
 
祖父母に兄貴の話をすると金曜日兄貴を家に呼んだら?皆でご飯を食べようかという話になった。
 
兄貴を誘ったら喜んでくれた。
 

家族のような存在、兄貴

 
今日は金曜日。祖父が営んでいる喫茶店が休みである。
 
父、母、私、祖父、祖母。今日の夜は皆で祖父母の家でご飯を食べる予定だ。年に数回あるかないかくらい珍しい行事だった。兄貴が来てくれるからである。
 
兄貴は1人だと恥ずかしいということで、みやぞんも一緒に祖父母の家に来た。
 
皆で食卓を囲み、祖父母が作ってくれた料理の数々を皆で食べる。兄貴は祖父が作った海老フライに感動していた。みやぞんは好き嫌いが多いみたいできゅうりを頬張った時には「ぺぺぺぺペッッ!ペロペロペロペロォォォ!!グワッッ!!」と言い困っている様子だったが2人とも幸せそうにたくさん食べていた。私はこのヤ〇ザみたいなごっつい見た目の男2人がこの家にいるというカオスな状況に終始笑っていた。
 
「また今度こうやって皆でご飯を食べたいなぁ」なんて兄貴は少し寂しそうな顔で話していた。
 
 
兄貴には高校時代から両親がいなかった。高校を中退してからずっと働いていたらしい。私とよく遊んでくれていたが、いつの間にか兄貴を見なくなったのはそれが理由だった。きっとこうやって家族揃って食事をするのが嬉しかったんだろう。そう思った。
 

消える思い出…家族旅行

 
それから2週間後の金曜日。GWで私の家族は皆休みに入った。私は相変わらずニートだ。
 
私の両親、祖父母、そして兄貴とみやぞん。皆で1泊2日の温泉旅行に出かけた。みやぞんは仕事のため、ディナーまでしかいられないということだった。皆それぞれ温泉に浸かり満足してお風呂を出た後、夜食付きだったので懐石料理のコースを食べにホテルの中にある宴会会場のような場所へ皆で向かった。とても広い会場だった。GWだからか人の数が凄い。
 
人の数や活気に圧倒される。兄貴は何かオドオドしている。少しうるさい場所が苦手なのか?そう思った。
 
家族でテーブルを囲んで食事を始めた。懐石料理はとても豪華で家族皆が好きな海鮮がメインだった。家族皆笑顔で幸せそうに食事を楽しんでいた。みやぞんは苦手な物を食べては「ぺぺぺぺペッッ!ペロペロペロペロォォォ!!グワッッ!!」と言いながらも懐石料理を楽しんでいたが、兄貴はなんだか挙動不審で少々行動が怪しい。みやぞんはたまたまホテルの近くで仕事があったためディナー途中で席を外した。もしかして兄貴はみやぞんの仕事が気がかりで仕方がないのか?と思ったらそうではなかった。
 
兄貴が何かしている。小さい袋をポケットから取り出していた。3袋ある。コソコソと少量の細かい白い粉を小さい袋から取り出すと、日本酒を注いだおちょこにささっと入れたのを見た。食物繊維か?と思ったがあまりにも行動が怪しすぎるのである。私は見ぬフリをした。すると兄貴が私に
 
「この日本酒美味しいぞ」
 
と言ってなんと謎の粉入りの日本酒を飲ませようとしてきた。
 
なんの粉なのか全くわからない…私は殺されるのかと思い恐怖のあまり飲んだふりをして何故か服の上にこぼした。気が動転していたのだと思う。
 
兄貴はこぼしたことを気付いていないようだ。ホテルが用意していた浴衣の柄と色に助けられた。兄貴は勘づかれるのを避けたかったのか、私が日本酒を飲む瞬間を敢えて見ないように振舞ったようにも感じる。
 
何故だ?何故白い粉をこっそり入れたんだ?
 
そう考えていると、頭がクラクラしてきた。飲んではいないがこぼし方が下手だったが故に、口元に少量日本酒が付いてしまったからであると思う。なんだか気持ちが悪いが胃腸風邪のときのほうがよっぽど酷い。私は瞬時の判断で助かった。
 
きっと白い粉には毒性がある。もしかしたら家族にも毒を盛られるかもしれないと思い、丁度トイレに行こうとしていた父の元へ向かった。
 
「兄貴が変な白い粉を日本酒に混ぜるのを見た。私は毒を盛られたかもしれない。」
 
と父に話した。すると父も兄貴が何か怪しいことをしていることに勘づいていたようだった。
 
「とにかく兄貴から目を離してはいけない。」
 
そう父が言った。そうだ、家族を守らなければいけない。私は急いで席に戻ると兄貴は不思議そうにこっちを見てきた。私が苦しんでいないからである。
 
兄貴はまた白い粉をそっと取り出したが特に何をすることもなかった。皆の様子を伺っているようだった。海鮮料理がメインだったのでこっそり食材に白い粉を混ぜるのは困難であったと思われる。
 
祖父がホテルの従業員を呼び、食後のコーヒーを頼んだ。すると兄貴もその従業員を呼び出した。
 
「この砂糖溶かしてコーヒーに入れて持ってきて下さい。」
 
小さめの声でそう従業員に伝え、白い粉を渡したのが見えた。このままでは祖父もやられてしまう。私はどんどん体調が悪くなっていく一方だ。
 
強硬手段に出た。
 
警察に白い粉を盛られて気分が悪いと電話をした。コーヒーに白い粉を入れるよう従業員に頼んでいたことや、今いる場所を伝え、来てもらい白い粉を調べてもらう作戦だ。警察が駆けつけるまでの間、時間を稼がなければならない。父は母にはこっそりこの事情をスマホで連絡していたから母は飲食しないようにしていたが、ラッキーなことに祖父母もお腹が膨れたと言って食べ物飲み物に手を付けなくなった。兄貴の誤算であろう。
 
私はトイレに行くふりをして従業員に頼んだコーヒーの在り処を聞いた。コーヒーが丁度出来上がりテーブルに持ってくるところだった。咄嗟にコーヒーを運ぶ従業員にわざとぶつかりコーヒーをこぼした。
 
従業員は慌てて私に謝る。皆が私を見てザワついていた。丁度そのタイミングで警察が数人来た。警察は私の方を見るなり察してこちらの方へ向かってきた。
 
すると兄貴がいきなり立ち上がり逃げようとした。警察は取り押さえようと兄貴を追いかける。瞬く間にホテル内は大パニックになった。皆がワタワタするので、家族の姿も見えなくなってしまった。兄貴は警察に任せて、私は家族を探し説明しに行くことにした。
 
「兄貴は私とおじいちゃんを殺そうとした。」
 
だいぶ呂律が回らなくなってきてフラフラになりながらそう話すと、私の状態を見てわかってくれた。
 
目が覚めた。
 
 
 
 
という夢オチ(´・ω・`)
 
ごめんなさいごめんなさい!!
 
かなり長い夢を見ました。超大作で、結構リアルだったので夢の中でも家族を助けなきゃという気持ちでいっぱいでした…
 
兄貴とみやぞんは架空人物です。兄貴は結局捕まったのかはわかりませんが、私を殺そうとしたのは私が邪魔だったからなのかなと思います。祖父についてはわかりませんが、私が「私もコーヒー欲しい」と言うと思ったのでしょうか…みやぞんのことは殺したくなかったので、兄貴はみやぞんが仕事のために席を外した後に犯行に及んだのだと思います。
 

まとめ

 
兄貴は何故私が邪魔だと思ったか。
 
家族が欲しかったから。私を殺したら家族が悲しみますがその悲しみという隙間に兄貴が入ることで「もしかしたら自分を子どものように大切にしてくれるのでは」と思ったのではないでしょうか。兄貴には両親がいないので…
 
 
サイコパス感のある兄貴の話でした。
 
それでは!

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